夢みる蝶は遊飛する
「え・・・ど、どこに?」
困惑した表情は、隠せなかった。
今日の予定は部活の備品を買うことのみだったはず。
少なくとも、私と舞の間ではそうなっていた。
須賀くんと桜井くんとの間では、違うやりとりがなされていたのだろうか。
他に行かなければならない場所はないはずなのに。
目を白黒させている私に、彼はわざとらしい引きつった笑みを浮かべながら2枚の紙を見せた。
「あの、映画の招待券が、ちょうど2枚あるんだよね。期限は今日まで。
えっと・・・む、無駄にしたくないから、付き合ってくれると助かるんだけど・・・」
断る理由を探してみた。
けれど、それは見つからなかった。
私が頷くと、彼の笑顔から緊張がなくなった。