夢みる蝶は遊飛する

これは本当だ。

ただ、あまりにもCGに頼りきった偽のアクションは好きではない。


人間の出す衝撃波で人が倒せるなら、武器などいらない。

発達した動体視力で銃弾を避けられるなら、防弾チョッキを着る必要はない。

そう考えてしまう私は、理屈っぽいのだろうか。


「お、意外。高橋さんって絶対、ラブストーリーで号泣するタイプだと思ってた」

「どうして?」

「いや、なんかそんなイメージだから」


そう言われて、少し落ち込んだ。

私はなぜだか、やたらと女らしく見られるきらいがある。


ピンクが好きそう、ピアノが弾けそう、料理ができそう。

こちらに来てそのようなことを何度も言われた。


たしかにパステルカラーが好きで、ピンクも例外ではない。

けれどピアノは弾けないし、ましてや料理など、調理実習以外で包丁を持ったことのない私にできるはずもない。

それを考えると、普段から気にしている自分の無能さを、改めてはっきりと感じた。

女らしさなど、かけらも無いような気がする。


若干落ちた気分を引きずりながら、私たちはシアターの中央あたりに座った。

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