夢みる蝶は遊飛する

11月も半ばを過ぎ、コートを着なければ学校には行けなくなった。

手袋をして、マフラーを巻いて、完全防備で。

11月でこんな状態ならば、年が明けてからの本格的な寒さに、私はどう対応すればいいのだろう。

東京よりも夏の暑さが厳しくないぶん、冬の寒さは私には耐えがたかった。



「さ、寒い・・・・」


登校してきた沙世は、震えている私の姿を見て呆れていた。


「はあ? これで? っていうか11月なんてまだ冬の始まりでしょ。今でこれならあんたそのうち凍え死ぬわよ」


手をすり合わせて息を吹きかけてみても、少しも手は温まらない。

どうしてこの学校にはエアコンがないのか。

教室の隅にある埃にまみれたストーブは、12月にならないとつけてはいけないらしい。


「今までどうやって冬を過ごしてきたわけ?」


そんな私を見て、沙世は呆れたようにため息をついた。


「どうやってって・・・・」

< 168 / 681 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop