夢みる蝶は遊飛する
11月も半ばを過ぎ、コートを着なければ学校には行けなくなった。
手袋をして、マフラーを巻いて、完全防備で。
11月でこんな状態ならば、年が明けてからの本格的な寒さに、私はどう対応すればいいのだろう。
東京よりも夏の暑さが厳しくないぶん、冬の寒さは私には耐えがたかった。
「さ、寒い・・・・」
登校してきた沙世は、震えている私の姿を見て呆れていた。
「はあ? これで? っていうか11月なんてまだ冬の始まりでしょ。今でこれならあんたそのうち凍え死ぬわよ」
手をすり合わせて息を吹きかけてみても、少しも手は温まらない。
どうしてこの学校にはエアコンがないのか。
教室の隅にある埃にまみれたストーブは、12月にならないとつけてはいけないらしい。
「今までどうやって冬を過ごしてきたわけ?」
そんな私を見て、沙世は呆れたようにため息をついた。
「どうやってって・・・・」