夢みる蝶は遊飛する
「亜美、ちょっといい?」
部活を終えて、ドリンクを入れるボトルを洗いに行こうと、それらを抱えているところだった。
舞が、真剣な表情で私を呼びとめた。
「いいよ、なに?」
作戦ボードを持っているところから、練習内容についての話であることは容易にわかった。
私は最近、舞と一緒に練習メニューを考えることも多くなったのだ。
「24秒、オーバーしちゃうんだよね」
床にあぐらをかいて座った舞に、身体を冷やさないようにタオルを渡してジャージを着せ、私も向かいに座った。
底冷えのする体育館のフロアは、私の体温を奪っていった。
けれど今は、それを気にしている場合ではない。
「それ、私も気になってたの」
少し顔をしかめた。