夢みる蝶は遊飛する

「ひとつめは、ドリブルを一切しない3対3。パスのみでね。これは、そのうち慣れたら4対4にしてもいいと思う」


一人のプレイヤーが、ドリブルをせずにボールを持ち続けていられるのは5秒までだ。

これならば、一人でボールを保持しつづけることができないため、必然的に仲間にパスを出すことになる。


「もうひとつは、一人が4秒以上ボールを持たない5対5。これはドリブルあり。これをやるなら、私がタイマーで時間見ながら、誰かが4秒以上ボールを持ってたら声をかけるね」


ただし、どちらもやりすぎると、今度は自分で攻めることができなくなってしまうし、時間を気にするあまりに乱雑なプレイになってしまうので、注意しなければならない。


「ああ、そうだね! それをやれば、迷わずに思い切ってパスできるようになるし、そのうちパスのタイミングもつかめるようになるよね」


舞が頷くと、鎖骨辺りの髪も揺れた。


「ほんとに、亜美がいれくれて助かる! 今まで練習メニュー考えるの、ほとんどあたしだったから、不安だったんだよね。
ありがとう!」


その言葉が嬉しくて、私は微笑みながら頷いた。

そして、汗がひいて鳥肌が立ち始めた舞に、汗を拭いて早く着替えるように言って、私は片づけをしはじめた。

< 172 / 681 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop