夢みる蝶は遊飛する
「よし。クリスマスパーティーやろう!」
明るい声色で場の雰囲気を変えたのは、ヒロくんだった。
「追試って、23日の天皇誕生日だろ? それを乗り越えたら楽しいパーティーだって思ったら、沙世も頑張れるでしょ」
この学校は12月22日が終業式で、23日から冬休みに入るのだ。
その言葉を聞いて、ぐずぐずと泣き言を並べていた沙世が顔を上げた。
「どこで?」
「もちろん、祐輝の家」
何の了承もとらずにさらりと発せられたその言葉に、須賀くんが慌てはじめた。
「ちょ、ちょっと待てって!」
けれど、水を得た魚のように、途端に元気になった沙世には、そんな制止の言葉は聞こえていない。
わざと無視しているのかもしれないけれど。