夢みる蝶は遊飛する
挑発的な態度をとる私に、女は耳障りな声を上げた。
「だったらどうして・・・どうして会おうとしないの!? 会ってくれないの?
雅人さんは、あなたを待ってるのに・・・!」
苛立ちの混ざった声だった。
喚きたいのはこっちだ、と思った。
けれど、女が激昂すればするほど、あれほど強い感情が燃え盛っていた私の心の中は冷静になっていった。
「・・・・父は、私を恨んでいないんですか、嫌っていないんですか」
この女に訊くのは、癪に障る。
けれど、それは私がずっと父に問いかけたかったことだ。
胸を突き破ってきそうな屈辱感をこらえた。
「似た者父娘」
「え?」
返されたのは、想像していなかった言葉。
「似た者父娘って言ったのよ。同じなの、あなたと、あなたのお父さん」