夢みる蝶は遊飛する
笑われているような気がしたけれど、不思議と不快には感じなかった。
強い屈辱感も、少し重みが減った気がした。
「同じ・・・?」
「お互いに憎まれてる、嫌われてるって思い込んでるの。本当はどちらもそんなこと思っていないのに、怯えて無理して離れてる。
・・・・雅人さん、よく話してくれたわ、あなたのこと。頑張り屋で、ひたむきにバスケに打ち込んでて、誰よりも輝いてる自慢の娘だって」
にわかには信じられない。
今も、私を自慢の娘だって思ってくれている?
輝く術を失った私を、それでも自慢だと言ってくれたの?
「一番辛い時期に、現実から目を背けて逃げてしまって申し訳ないって、ずっと心を痛めている」
父が気に病むことなど、何もないのに。
すべての罪は、私ひとりが背負うべきものなのに。
父がそのとき感じたであろう痛みを、私もずっと抱えていた。
その苦悩は、きっと誰よりも私が理解することができる。
震える唇で、言葉を紡いだ。