夢みる蝶は遊飛する
翌日。

8時40分から朝のHRが始まるため、それまでに教室に入っていなければ遅刻となる。

現在の時刻、8時20分。

教室に入ると、何人ものクラスメイトが挨拶をしてくれたけれど、まだ名前を覚えられていないのを申し訳なく思った。


窓際の一番後ろの自分の席に座る。

前の席の沙世は、もう登校していた。


「おはよ、亜美」

「おはよう」


クラスメイトと挨拶なんて久し振りで、なんだかくすぐったい気持ちになる。

私たちは他愛もない話をしてHRまでの時間をつぶした。


隣はまだ空席だ。

昨夜のテレビ番組の話になり、話が途切れないことに安心しはじめた時だった。



「俺もそれ見た見た!」


私の隣の席に誰かが座り、そう言って割り込んできたのだ。

聞き覚えのないその声の方に顔を向けると、隣に座っていたのはもちろん須賀くんではない。

そこにいた人物を見て、思わず瞠目する。


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