夢みる蝶は遊飛する
もう誰にも、必要ないなんて言われたくなくて。
もう二度と、役立たずなんて言われたくなくて。
もう絶対に、自分の存在を否定されたくなくて。
私は、自分を偽り、演じる。
完璧に、見破られないように。
それなのに。
「すべてが終わったら、そんな日なんか来なければいいけど・・・私が知ってること、あなたに話すわ。私が今まであの人に聞いたこと、すべて。たぶん、あなたがまだ知らないこともあると思う」
ほら、私はこんなにも簡単に動揺してしまう。
けれど、気づかれないように、気取られないように。
瞳を揺らさず、逸らさずにいれば大丈夫。
「すべて? 私が知らないこと・・・?」
その中には、私が先ほど父に問いかけたことに対する答えも、含まれているのだろうか。
「そう。それをあなたに伝えるのが、私の役目。あなたを呼んで、それを聞いてもらいたいっていうのが、あなたのお父さんの・・・最期の願い」
父の、最期の願い。
そこに込められた想いと真実は、一体どんなものなのだろう。
それを知った私は、無知という恐怖から逃れられるのだろうか。
ねじれて絡まってしまった運命の糸は、切れることなく繋がっている。
壊れかけた歯車は、軋みながらも回っている。
終焉まで、あと僅か。