夢みる蝶は遊飛する




父の死。


逃れられない、遠くない未来に。


その瞬間は、やって来る。





その夜は、まともに眠れるはずもなく。

わずかにまどろんだと思えば、悪夢が私を襲った。


真っ暗で、ひとり。

膝を抱える幼い少女。

ひたすらに、待ちつづけている。

愛を求めて彷徨っている。

泣きながら、叫んでいる。

寂しいと。


顔の見えないその少女は私であると、そう思った。

遠く遠いその光景が、私の心を締め付けた。


< 239 / 681 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop