夢みる蝶は遊飛する
父の死。
逃れられない、遠くない未来に。
その瞬間は、やって来る。
その夜は、まともに眠れるはずもなく。
わずかにまどろんだと思えば、悪夢が私を襲った。
真っ暗で、ひとり。
膝を抱える幼い少女。
ひたすらに、待ちつづけている。
愛を求めて彷徨っている。
泣きながら、叫んでいる。
寂しいと。
顔の見えないその少女は私であると、そう思った。
遠く遠いその光景が、私の心を締め付けた。