夢みる蝶は遊飛する
翌日の葬儀の喪主は、父の弟。
父より五歳年下だというその男性は、たしかに父とよく似ていた。
父の弟、つまり私の叔父は、私の席を最前列の親族席に用意した。
もう名字も違う私が親族席に座るのは躊躇われ、一般席でいいと主張しても聞き入れてもらえなかった。
そして私がその席を厭う理由はまだある。
私の隣に座るのは、父の母親なのだ。
私にとっては父方の祖母だけれど、なにしろほんの少し前に初めて会った人物だ。
父の母親といえども顔はまったく似ておらず、厳格そうな雰囲気に圧倒された。
同じく数時間前に会ったばかりの叔父よりも、近づきがたいのはたしかだった。
そして。
私が席に着いても祖母はちらりとこちらに視線を投げかけただけだった。
恥じることはなにもないのだと自分に言い聞かせて背筋を伸ばして前を見据えても、心を落ち着けることができなかった。
隣の席の祖母からは何の感情も伝わってこなかった。
まるで私などここに存在していないような気がするほどに。
罵られるよりもその方がひどく恐ろしいと感じた。