夢みる蝶は遊飛する
“断るのは構わないけど、大人の対応をしてほしい”
そう叔父は言ったのだ。
私は今からなにを言われ、なにを判断し、なにに対応しなければならない状況に陥るのだろうか。
まったくわからなかった。
二人掛けソファに座った私と、ローテーブルを挟んでむこう側の席に着いた父方の祖母と叔父。
着物の裾を優雅にさばく祖母の所作に、滲み出る気品を感じた。
「単刀直入に言うわね。あなたには、長谷川家の養子になってもらいたいの」
突然の祖母の言葉に唖然とした。
ソファには腰掛けず、私の斜め後ろに立ったままの夏希さんが舌打ちするのが微かに聞こえた。
「養子・・・・どなたのですか」
“大人の対応”を心がけ、できるだけ冷静に聞き返す。
すると。