夢みる蝶は遊飛する
いろいろな連絡事項を、先生が話している。
その間ずっと、私は窓ガラス越しに空を眺めていた。
東京より空が高いような、それでいて空に近いような、そんな不思議な感覚がした。
絵具で塗りつぶしたかのような、こっくりとした爽やかな青い空に、まるで羽根のように見える真っ白な雲が漂っている。
今日も清々しく晴れ渡っている。
憎らしいほどに。
誰の心を映したら、こんなに澄んだ色になるのだろう。
その人は一体、どれだけ幸せな人間なのだろう。
母は、あそこにいるのだろうか。
哀しすぎる母の最期を思い出し、私はそっと瞳を閉じた。