夢みる蝶は遊飛する
同じように故障で、手が届きそうだった輝かしい未来が失われてしまった私に、自分を重ねて見ていたのかもしれない。
それはきっと父に、苦しかった日々を思い出させてしまったのだろう。
私と父、二人分の絶望を抱えてしまったのではないか。
けれど、それが家を出た原因ならば、どうして私を恨んでないなどと、夏希さんに話していたのだろう。
母を巻き込んで、離婚をする理由に発展していったのには、どういう過程があったのだろう。
まだ、私は知らない。
父が、母と私を思うがゆえに下した決断を。
けれど真実は、父が隠した真実は、すぐそこに。
すぐそこにあったのだ。