夢みる蝶は遊飛する
私が小学校に上がる春を目前にして、ついに待ちわびた日がやってきた。
両親と一緒に、暮らせることが決まったのだ。
その決定の裏にどんな事情があったのかは知らない。
けれど、やっと普通の家族になれるのだと、安堵している自分がいた。
もう、両親の帰り際に涙を隠さなくてもいい。
もう、次はいつ会えるのかなんて気にしなくてもいい。
これからは大好きなお父さんとお母さんと、一緒の家で食事をして、遊んで、話して、眠って、そんな生活が待っている。
目が覚めたら、また離れ離れになるなんてことを、考えなくてもいい。
幼い私の小さな手には、歓喜と、希望と、それから幸せな未来が握られていた。
他の子どもたちのとき同様、卒園パーティーを開かれ、折り紙で作ったレイをかけられ、小さな花束をもらう。
仲のよい子に自分を忘れないでいてもらうために、お菓子のおまけについていたプラスチックとガラス玉でできたアクセサリーをあげた。
そうして私は、小学校に上がる直前、両親のもとへ帰ることができたのだ。