夢みる蝶は遊飛する
記憶の鎖
とっくに日付が変わっているのに、ベッドに潜り込んでも眠ほとんどれない。
この一週間、ずっとそうだった。
鏡を見るとその中の自分はひどい顔をしていて、髪も肌も唇も荒れきっていた。
食欲もない。
生命を維持するために無理に食べ、嘔吐することもあった。
そのせいで口内の粘膜が傷つき、痛みで余計に食べることが億劫になるという悪循環。
今夜も、祖母の作ってくれた夕食を残すのは忍びなくて、なんとか胃に流し込んでいたけれど。
噛む動作さえ辛く感じるほどの倦怠感の中で、半分も食べないうちにひどい胃の痛みに襲われた。
トイレに駆け込んですべて戻していると、鼻の奥がつんと熱くなり、涙が出そうになった。
必死にこらえたその涙が、なにに対してのものなのか、私にはわからない。
自ら命を断つことは思い止まったものの、このまま生きていけるとは到底思えない。
精神が崩壊するのが先か、身体に限界が来るのが先か。
結局、生きる希望などどこにもないことは明白で。
夜が更けていくのを、膝を抱えながら見ていた。