夢みる蝶は遊飛する
いつか感じたような、血液が一気に下降していくような不快感。
ひどいめまいに襲われ、しばらくの間そのままの体勢でじっとしていた。
ゆっくりと目を開けてみても、めまいの名残で目の前が暗い。
その中で、光の玉のような白いものが点滅して見える。
身体の限界を示す、危険信号なのだろうか。
けれど、まだ壊れるわけにはいかない。
決めたのだから。
たしかに愛されていたという言葉を信じることを。
速い鼓動は、なにに対してのものなのだろう。
思うように動かない身体を叱咤して机に向かう。
その中から、震える手で白い封筒を取り出す。
丁寧に封を切り、そして。
ついに私は、自分の過去を封じる扉を開けた。
その先には、一体なにが待っているのか。
この時の私には、わかるはずもなかった。