夢みる蝶は遊飛する
秘められた慟哭
『亜美へ
私はもう生きていくことができません。
あなたを置いて逝く私を、許さないでください。
最期まで身勝手な母親でごめんなさい。』
母の遺書は、その文ではじまっていた。
許されることを望んでいないのは、私も母も同じだ。
『私はこれで二度、あなたの手を離したことになります。
もう私には、あなたを迎えに行くことはできません。
けれどあなたは、どうか生きて。』
両親のいない世界で生きるのは、私の意思ではない。
ただ、そうするより他にないから、私は今抜け殻のような状態で生きているのだ。
どうして母は、私が独りになっても生き続けることを望んだのだろうか。
一度目に母が私の手を離したとき、それは私が必要なくなったからそうしたのではなかったのか。
読み進めていくのが怖かった。