夢みる蝶は遊飛する
私のチームは練習の時から沙世にスパルタ特訓を受けている。
このチームは沙世がキャプテンで、8人で構成されている。
部活に入っていない私を除く全員が運動部に所属しており、なかなか強いチームだと思う。
6人がコートに入り、礼。
8人が順番に出ることになっているため、私ともう一人はコートの外で応援をする。
まずは相手のサーブから。
一直線に沙世の元へ飛んでいくボール。
それを彼女はいとも簡単に返す。
さすがはバレー部、動きが軽やかだ。
髪が汗で首筋に張りついている。
沙世の髪は長いから、高い位置で結んでも邪魔になってしまうのだ。
そんな、髪を振り乱してプレイをしているチームのみんなを眺めながら、私はコートの外で膝のサポーターをしっかり締め直した。
その後も沙世の強烈なスパイクが決まったり、隣のクラスの運動部キャプテンの大活躍により、私たちは着々と得点を重ねていった。
途中から交代してコートに入った私も、苦手なサーブを確実に入れることができ、少しは貢献できた。
捨て身でボールを拾った際にフロアで擦った左膝が痛い。
ちらりと見てみると、摩擦熱で火傷のようになっていた。
もちろん、サポーターで守られている右膝は無傷。
通常より強度の高いサポーターは、私の脚の動きを少し妨げてはいるけれど、これが無いと安心して体を動かせないのだ。
手を膝につき、ざらりとした布を撫でて、私はしっかりと前を見すえた。