夢みる蝶は遊飛する
けれど、それはあっけなく壊れてしまいました。
二年前、あなたは心身ともに深い傷を負い、雅人は家を出ていき、私は狂ったようにあなたを責めた。
残された私と亜美の間には埋められない溝ができ、あんなに守りたかった幸せは、音を立てて崩れていきました。
あなたの笑顔を、もうどれほど見ていないでしょうか。
後悔ばかりの毎日でした。
でもどうか、雅人を責めないでください。
あなたはいつか自分の父親の、過去を知ることになるかもしれません。
同情は必要ない。
けれど、理解だけはしてあげてください。
彼がどうしてあんなに、夢を追いかけるあなたに執着していたのかを。
その年の冬には、うつ病が再発しました。
今も、治ってはいません。
もう私には、病に立ち向かう気力も強さも残っていません。
きっとあなたは知らなかったでしょう。
でも、あなたはなにも悪くない。
どうか自分を責めないでください。
悪いのは、すべて私です。