夢みる蝶は遊飛する
これが、あなたの過去です。
今までこれをどうしてもあなたに告げることができなかったのは、私の弱さであなたに迷惑をかけてしまったことを恨まれるかもしれないと思ったからです。
施設であなたがどんな思いをして過ごしていたか、それは私にはわかりません。
けれど、私がもっと強ければ、あなたはもっと幸せだった。
それはたしかな事実だと思います。
私はあなたに、母親として絶対にしてはならないことをして、言ってしまいました。
それに比べて、なにひとつ母親らしいことはしてあげられませんでした。
そして今も私は、あなたを置いて逝こうとしています。
こんな私を、どうか憎んでください。
あなたにどんなに憎まれ、恨まれ、蔑まれようと、私があなたをそう思うことはありません。
あなたは私の自慢の娘です。
私は亜美を、雅人を心から愛しています。
私の存在を忘れても、あなたを愛した人間がいたことは、忘れないでください。
それだけが、私の願いです。
ありがとう。
愛しています』