夢みる蝶は遊飛する

そして。

相変わらず、眠れたのか否かわからないような状態で朝を迎えた。

身体の重くだるい感覚も相変わらずだ。


今日は二学期の終業式。

制服に袖を通し、身だしなみを整える。

少しでもいつも通りに見えるように。

けれど生気のない顔だけは、どうしようもなかった。



ほとんど何も入っていないはずの鞄が、ひどく重く感じた。

紺のテーラードカラーのPコートも、ずっしりと背にのしかかってきた。

学校への道のりを、こんなに長く感じたことはなかった。

緊張していたはずの転校してきた初日ですら、ここまで長いとは思わなかった。


今日の空は、とても穏やかで澄んでいた。

けれどそんな美しい空も、すべてを失った惨めな私を嘲笑っているかのようで、強く睨みつけてからはもう、一度も見上げなかった。


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