夢みる蝶は遊飛する


思い通りに動かない身体を叱咤しても、何の意味もない。

支えられて歩いているというより、引きずられていると言った方が正しいだろう。

今にも断ち切れそうな朦朧とした意識の中、私は中断してしまっただろう終業式のことを考えていた。



気づけばもう保健室の前だった。

私の身体を支えている教師が、乱暴に思えるような手つきでドアを開けた。

先回りしていたらしい養護教諭が駆け寄ってくるのが、薄く開いた目で見えた。



「気持ち悪い?」


また、男性教諭が私に訊ねる。

今度はしっかりと首を縦に振ると、保健室内の水道までまた引きずられた。

間髪入れず、私は胃の中のものを吐き出した。



「・・・ごほっ・・・・・・う・・・・っ」


咳き込むたびに、喉が焼けつくように痛んだ。

粘膜が炎症を起こしているのだろう。

もともとほとんど何も入っていない胃からは、胃液だけが排出された。




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