夢みる蝶は遊飛する
闇の中の鎮魂歌
真っ暗の世界の中でかすかに聞こえる、哀しい旋律。
情熱をともなった、炎のような祈りを捧げる。
死者の魂が、天国へと迎えられるようにと。
彼らにもう、苦痛を与えないで。
死という試練を乗り越えた先にあるのは、永遠の幸福であってほしい。
小さな物音を耳が拾い、私は目を覚ました。
見覚えのある虫食いのような模様の天井と、周りを囲む薄い水色のカーテンが目に入る。
身体をくるむ毛布と白い上掛けを見てやっと、ここが保健室で、自分がそのベッドに寝ていたことがわかった。
貧血を起こさないようにゆっくりと起き上がってみると、折り曲げたスカートを留めていたベルトがないことに気がついた。
腰のホックも外されている。
ベッドの上に座り直し、スカートの襞を整えて枕元にあったベルトをしていると、軽い音を立ててカーテンが開けられた。