夢みる蝶は遊飛する

「起きたのね」


そこは養護教諭の古居先生がいた。



「・・・はい。今、何時ですか?」


声を発すると、喉がひどく痛んだ。

軽く咳払いをしてみると、かすかに血の味がする。


「今? えっと、二時過ぎよ」


驚いた。

まさか三時間以上寝ていたとは。

もう何日もまともな睡眠をとっていないから、それだけ身体が疲弊していたのだろう。


先生はベッドから下りるよう私を促し、パイプ椅子に座らせた。

ブランケットを膝に掛けられて、肌ざわりのよいその感触を、手のひらで楽しんだ。

電子体温計を差し出され、それを脇に挟む。


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