夢みる蝶は遊飛する
「スリッパは緑だから二年生ね。佐竹先生のクラスだから2組で・・・・何番?」
何十もある引き出しを探りながら訊かれた。
担任を知っているということは、佐竹先生はもしかしたら様子を見に来てくれたのかもしれない。
「2組40番です」
私の名字は高橋だけれど、転校生だから名簿番号は必然的に最後となる。
「あ、あった。高橋さんね」
黄緑色の保健室利用カードに先生が何かを記入していると、ピピピピ、と機械音がした。
体温計を取り出して見ると、35度5分。
それを見せると、古居先生は少し気難しそうな顔をした。
「ちょっと低いわね・・・平熱はどれくらい?」
「いつもこのくらいです」
私は平熱が低い。
今までに発熱したのは、膝の炎症で入院していたあの時の一回だけだ。