夢みる蝶は遊飛する
保健室利用者記録と書かれた紙を差し出された。
症状、睡眠時間、朝食の有無などを項目に沿って細かく記入していく。
私がすべて書き終えたその紙を見て、先生がため息をついた。
「こら、何なのこれは」
正直に記したのがいけなかったのか、苦虫を噛み潰したような顔をされた。
「倒れた理由はこれを見る限り、栄養不足と貧血と睡眠不足ね。こんな風になる心当たりはあるの?」
心当たりなど、ありすぎて逆に言えない。
首をすくめて、曖昧に笑んだ。
「まあいいわ。はい、これ」
先ほど飲んでいたスポーツドリンクのペットボトルを手渡された。
倒れたときにもしかしたら零してしまったかもしれないと思ったけれど、中身は私が飲んだ分しか減っていなかった。
相変わらずぬるいそれを、少しずつ喉へ流し込んでいく。
「それ、全部飲みなさい」
そう言って先生は事務机に乗ったパソコンに向かった。