夢みる蝶は遊飛する
その後、休んでいた間のことについて質問された。
亡くなったのは私の実の父親であることを口にした瞬間、やりきれない想いがまたよみがえってきた。
認めたくないのだ。
どんなに受け入れようとしてみても、まだ受け入れられないのだ。
私の記憶の中の父は、いつだって力強くてたくましかった。
それなのにいきなり病に冒されていることを知らされて、そして瞬く間に亡くなり焼かれて骨になってしまった。
受け入れられるはずがない。
私は強さとしなやかさを持ち合わせた大人でも、死というもののもつ意味がわからない子どもでもないのだから。
けれど、大丈夫。
頑張れるから。
私は泣かない。
そう決めたのだから。
悲しみという一言では表せない感情をぐっとこらえて、私は哀れな少女を演じきった。