夢みる蝶は遊飛する

窓際の列には4人分のデスクがあったけれど、席についているのは一人だけだった。

若い男性教諭。

この教師が林先生に違いない。


「あの・・・林先生、ですか?」


生徒の論述の添削をしていたらしい先生は赤ペンを持ち、肯定の返事をしながらこちらを向いた。

そして私の姿を認めると、少し考えて、そして思い出したようだ。


「おっ、さっきの・・・大丈夫か?」


冷や汗にまみれていた挙句に嘔吐するというみっともない姿を見られた気まずさはあったけれど、それにも同じように微笑んで頷いた。


「さっきはすみません。ありがとうございました。」

「ん、だいぶ顔色良くなったな。あんまり無理するなよ」


養護教諭の古居先生の言った通りまだ若い林先生は、気さくに笑いかけ、くだけた話し方をする。


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