夢みる蝶は遊飛する

その翌日の昼休み。

いつものように沙世と机をくっつけてお弁当を食べていた。


正確に言えば、沙世と二人ではない。

須賀くんと小早川くんも一緒だ。


須賀くんと仲の良い小早川くんは、休み時間のたびにこちらに来ては須賀くんにちょっかいを出していた。

最初は私と沙世、須賀くんと小早川くん、とはっきりと分かれていたはずなのに、小早川くんが私たちの会話に首を突っ込んでは掻き乱していくので、必然的に一緒に昼食をとっているも同然となる。



祖母は早起きして、毎日欠かさずお弁当を作ってくれる。

私が一緒に住むようになってから、食事のバリエーションが増えたと、祖父が教えてくれた。

最近は徐々に、祖父との会話も増えてきている。

いつもしかめっ面で難しい表情をしているけれど、祖父は祖父なりに、受け入れようといているのだと思う。

家を出て行って勝手に結婚した母が、私を残して亡くなったことを。

祖母の方が状況を素早く受け入れていたような気がするので、やはり女は肝が据わっているのだろうか。

そういう私は、いまだ現実から目を背けてばかりいるけれど。

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