夢みる蝶は遊飛する
「ちがう・・・・」
認めたくない。
障害物を避けてもいいなんて、認めたくないのだ。
私が今まで生きてきた中に、そんな選択があることを教えてくれた人はいなかった。
障害には立ち向かわなければいけないのだと。
ぶつかって、闘って、そして傷だらけになってもいいから乗り越えなければならないのだと。
そう教えられてきた。
だから私はずっと、そう信じてきた。
私が頑なに守ってきたものは、一体なんだったのだろう。
私はそれで一体、なにを守れたのだろう。
大切なものさえ守ることができれば、自分が傷つくのは構わない。
そう思っていた。
けれど刃の刺さった傷だらけの私自身が、今度は腕に抱えた守りたかったものを傷つけていたのだ。
もう、終わりにしたかった。
許されたいと願うことも、許されないことを嘆くことも。