夢みる蝶は遊飛する

逃げることを肯定してくれたのは、沙世が初めてだった。

それは同時に、こんな弱い私のことも肯定してくれたような気がした。


「困難に正面から突っ込んでいくのが正しいとは限らない。真っ直ぐ歩くだけが正解じゃない。あたしはそう思う」


その言葉信じてもいい?

泣いて弱くなってしまっても、そんな私も認めてくれる?

心の中で呟いたはずだったのに、なぜだか沙世はその言葉に頷いた。




「ごめっ・・・ね、ありが、と・・・・」


熱い雫が頬を撫でる。

手で拭っても追いつかないくらい、涙が頬に幾筋もの跡を残していく。

不思議と今は、弱さを感じなかった。

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