夢みる蝶は遊飛する
冷やして幾分かましになった私の顔は、それでも泣いた後だとすぐにわかってしまう。
けれども、それでもいいと思えた。
それはきっと、私がやっと自分自身を少しでも許すことができた証なのだから。
胸の痛みは簡単には無くならない。
傷はすぐには癒えない。
けれど、そんな自分を急かすのをやめた。
もう私には、生き急ぐ理由はなにも無い。
両親の愛を疑って生きていた頃とは違う。
逃げないことがもっとも賢い選択だと信じていた頃とも。
その違いが、強さという言葉で表せるものなのかはわからないけれど。