夢みる蝶は遊飛する


「はい、これ持って。沙世も、はい」


ヒロくんが自分以外の三人にクラッカーを持たせ、自分はシャンメリーの栓を開ける準備をした。


「メリークリスマス! でパーンだから、いい?」


頷き、クラッカーの糸を指に絡める。

力を入れすぎて糸がちぎれたりしないか、それが心配だった。


「絶対! クラッカーの中身が料理にかからないようにしてよ!」


沙世が念を押す。


そして。



「メリークリスマース!」


三つの破裂音と、ひとつの小気味いい音が鳴り、色とりどりの紙と、シャンメリーのコルク栓が飛び交った。

初めて鳴らしたクラッカーの弾ける音は、私の心も弾ませた。


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