夢みる蝶は遊飛する
「31日の夜、空いてる?」
「・・・え?」
突然、沙世が私の視界に入りこんだ。
「一緒に神社で年越ししよ!」
そう、彼女は微笑んだ。
「大丈夫、だけど・・・」
去年までは大みそかとは言えど部活があったから、友達と年を越すなんてしたことがなかった。
「神社の場所わかる?」
「あんまりわからないかも・・・」
「じゃあ11時半ぐらいに迎えに行くから、準備しといてね」
須賀くんとヒロくんも頷いているところを見ると、この二人も一緒なのだろう。
次の約束。
それが欲しかった私は、そのことに大きな安心感を覚えた。
その約束の日までは、絶対にいなくならないという保証であるかのように。