夢みる蝶は遊飛する
けれど、私は今、こうしてここにいる。
時折、胸を掻きむしりたくなるほど苦しくなることもある。
心の中をすきま風が通り抜けるような寂しさに襲われることもある。
痛々しい思い出に、涙を流すことも。
それでも、少しずつ、今という時間を大切にするようになろうとしているから。
後悔に費やすのではなく。
後ろを振り向いてもいいけれど、決して過去を目的地にして歩かないように。
だから、大丈夫。
心配しなくてもいいから。
そう、澄んだ夜空と青白い月を見つめながら呟いた。
すると、一番輝いている星が、頷くように瞬いた。
それはきっと、天上で寄り添いあう両親の返事だと思った。