夢みる蝶は遊飛する
この男性は、自分の息子を誇りに思っていて、そしてそれを目に見える形で表現している。
それがとても、羨ましかった。
私はそれを、想像で叶えるしかないのに。
「これ、差し入れです」
そう言って男性は、手に持っていたコンビニの大きな袋を二つ、私に差し出した。
その中には、スポーツドリンクの2リットルのペットボトルが何本も入っていた。
「たぶん、女の子の分もあるので、みんなで分けてください」
「ありがとうございます」
先ほどと同じく、小さく頭を下げる。
そして、片手でお盆を持ち、渡された半透明の袋をもう片方の手で持つ。
指が千切れそうだし、お盆を支える腕は震えていて大変だったけれど、なんとか落とさずに運ぶことができた。
小さく漏れたため息は、その安心感からか。
それとも別の思いからか。
どちらなのかは、自分にもわからなかった。