夢みる蝶は遊飛する

部活が終わり、洗い物をしていると、誰かが私の肩を軽く叩いた。


「お疲れ」


振り返ると、首にタオルをかけた舞だった。


「お疲れさま。舞、早くちゃんと汗拭いてジャージ着なきゃ。今日も寒いから、風邪ひくよ」


水にさらされている私の指は真っ赤になってかじかんでいる。

吐いた息は白く、一瞬だけその場を幻想的にしてくれる。

春はまだ遠い。



「亜美もね。体調はいいの? 終業式のときみたいに倒れないでよ」


舞は私が数日間休んでいて、さらにその後も部活に参加していなかったのは、体調不良のためだと思っているようだ。

終業式で体調が悪くなってしまったのを当然ながら舞は知っていて、今日も朝から何度も同じことを言っている。


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