夢みる蝶は遊飛する
始業式を終えた後には、国語、英語、数学の三教科の課題テストが待っていた。
すべて、時間は100分間。
200点満点での採点となる。
午前の国語のテストを終えて昼休みの間、沙世は必死に単語帳をめくっていた。
「arrest、逮捕する、indecisive、漠然とした、imminent、差し迫った・・・・」
血走らせた目をわずかに潤ませて、破れそうなほど力強くページを繰る沙世の姿は、鬼気迫るものがあった。
「absorb、没頭する、afford、余裕のある・・・・って、余裕なんかあるわけないわボケ!」
ついに叫び出し、弁当箱の中の玉子焼きに思い切り箸を突き立て一気に頬張った。
鼻息荒く咀嚼する沙世を見て、苦笑いがこぼれる。
「寝る間も惜しんで勉強したんじゃなかったの?」
「勉強はしてない!」
沙世はそうきっぱりと言い切った。
「じゃあ何をしてたの?」
目の下に濃い隈を作るほど、一体なにをしていたのだろう。