夢みる蝶は遊飛する

それから数日後、部活が始まる前の準備として、私は雑巾を濡らしていた。

体育の授業や行事などで使用される体育館のフロアは埃の膜が張っているような状態で、モップをかけても効果があまりない。

バスケットシューズの裏に付着した埃を拭うために、雑巾を毎日用意しなければならないのだ。



水に冷やされた私の手は、雑巾を絞る力がほとんど残っていない。

一旦水気を払って、懸命に手を擦り合わせているときだった。







また、私の背を、誰かの視線が突き刺した。

痛みさえ感じるほどの、憎悪。

それを振り払って後ろを見る。



着替えているサッカー部。

外で練習をするためにストレッチをしているバレー部。

その中には沙世もいる。

そして、バスケ部。


今はもう誰も、私のことなど見ていない。



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