夢みる蝶は遊飛する
一気に捲し立てる彼は、我を失っているようにも見えた。
私はその剣幕に押されて、危うく聞き逃すところだった。
彼が、皇ヶ丘学園と口にしたことを。
「俺の、大嫌いな奴が、皇ヶ丘学園に通ってるんですよ」
そして彼は、そう吐き捨てた。
またここでも、大嫌いという言葉を使って。
けれどどう考えても、私にはその言葉が彼の本心だとは思えなかった。
彼の瞳だけは、ごまかせていない。
「信じてたのに、裏切られた」
唇を歪ませて。
「ずるい手を使って、夢を汚した」
眉を寄せて。