夢みる蝶は遊飛する

バスケを愛している人間だったら、できないはずだ。

もちろん、組織すべてが汚染されているわけではなく、ごく一部のことなのだろう。

けれど、そのごく一部の人間のせいで、こうして憎しみにかられて我を忘れてしまう人間もいるのだ。

決して小さな問題ではない。





「その話は置いておくとして。
そういえば、お父さんに伝えておいてね。『父の葬儀に参列して下さってありがとうございます』って。
あと、差し入れを持ってきてくれたことも」


「ちょっと待ってください。いつから・・・・いつから知ってたんですか? 俺と、俺の父親のこと」


私の言葉に混乱した様子の薄くんが、慌てて訊ねる。



「順を追って話すね。
まず、県代表選手に匹敵するほどの力がある一年生がいるっていうのは、入部した時から知ってた。それが薄くんだっていうことも」


それは、舞や桜井くんから教えられたのだ。

実際に彼のプレイしている姿を見て、その実力はここでは抜きんでていると思っていた。


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