夢みる蝶は遊飛する
「じゃあ亜美は、ヒロと手を組みながらあたしの協力もするって言ってたわけ?」
その言葉に若干の非難が込められていることに気がつく。
弁解をすべきだろうか。
そう考えていると、ヒロくんが先に口を開いた。
「言っとくけど、俺は亜美ちゃんが沙世にも協力してたことは、今初めて知ったんだよね」
だから情報をリークしていたわけではない、と、私に代わって釈明してくれた。
私は沙世に対してヒロくんの考えを、ヒロくんに対して沙世の想いを話していたわけではない。
だから、沙世からの相談の内容をヒロくんに言うことなどは、決してしていない。
すべてが終わったら、きっとこのことは二人の知るところとなるということも。
それに関して私は説明して理解してもらわなければならないということもわかっていた。
面倒だと思ったのも事実だ。
けれど、二人の気持ちがはっきりとしていたから、失敗はありえないとわかっていた。
だからこそ、協力しようと思ったのだ。