夢みる蝶は遊飛する
修了式は、何事もなく終わった。
私が進行を止めてしまった二学期の終業式は、私が体育館を出てからも状況がわからない生徒たちのざわめきで、しばらく中断してしまっていたらしい。
もちろん、それが異常なのであり、つつがなく終わることが普通なのだ。
相も変わらず校長の話はとりとめなく長い。
卒業生たちの進学先がいかに素晴らしい大学であるか、そしてそんな卒業生たちを輩出するこの高校がいかに高いレベルの教育を行っているかなどをマイク無しで聞こえるほどの熱弁を奮っていた。
けれど、窓から柔らかな陽が射しこむ午後のこの時間にそんな話をされても、多くの生徒は立ちながらまどろむだけだった。
私も下を向いて、ひたすらにその聞きたくもない話から意識を逸らすことで時間を潰していた。
やっと式が終わったかと思えば、教室に戻ってからも担任の長い話が待っている。
今日でこのクラス、このメンバーとも最後なのだから、当然と言えば当然だ。
渡された通知表の内容は特に面白みのある内容ではなかったし、そもそも二学期との変化がなかった。
無表情で受け取った私とは対照的に、佐竹先生が期待を込めた瞳を向けてくるのを気づかないふりをして、ファイルに押しこんで鞄にしまった。