夢みる蝶は遊飛する
写真を撮ったり寄せ書きをしたり、まるで卒業でもするかのように別れを惜しむクラスメイトたち。
私はそこに、どんな顔をして混ざればいいのかわからなかった。
まるで最初からこのクラスの一員であったかのように紛れ込んでいいのだろうか。
そもそも前の学校、皇ヶ丘学園では、一年から二年に上がる時にクラス替えがなかった。
もし仮にあったとしても、別れを惜しむほど仲の良い人間などクラスにはいなかった。
あまりいい思い出のない教室での出来事を思い出しながらぼんやりしていると、急に腕を強く引かれた。
「ほら、亜美ちゃんも写って!」
私の腕を離さないのはヒロくんで。
なぜか、違うクラスの男子がカメラを構えている。
そして被写体として並んでいるのは、私がこの教室で半年間一緒に過ごした同じクラスの男子数人。
「え・・・・?」
「ほら、入って!」
「写真なら、私が撮るけど・・・・」
「駄目、亜美ちゃんが写ってないと意味がないから、ほら笑って、ピース!」
急き立てられるように、笑顔とポーズを要求される。