夢みる蝶は遊飛する
帰宅して、通知表を出そうと鞄を開けると、例の封筒が目に入った。
せっかくその存在を忘れていたのに。
とりあえずそれは置いておいて、ファイルから取り出した通知表を手に、リビングへと向かった。
そして自室に戻って来てからも、私の頭を占めているのはあの封筒のことだった。
制服を着替えている間も、鞄の中の教科書を本棚にしまっている間も、気になって仕方がなかった。
もう一度手にとって、それを読んでみる。
やっぱり意味はわからなかった。
こんなものを作った人物に心当たりがあるかと問われれば、あると言えるだろう。
だいたいの見当はついている。
ここ最近のその人物の行動を見ていれば、わかる。
自然に振る舞おうとしていても、いつもと違うのだから。
けれど、肝心のこの暗号めいた文章の意味がわからない。