夢みる蝶は遊飛する
翌日午前十時、私は学校に来ていた。
春休みでも、職員室などがある本館は施錠されていない。
教室のある棟は立ち入ることができないけれど。
私はあの暗号を解読することができた。
おそらく、完璧に。
そしてそれに導かれて、今ここにいるのだ。
本館二階の、会議室前に。
けれど、そんな私を待ち受けていたのは、新たな暗号だった。
会議室の中、扉を一枚隔てた向こうの様子を窺ってみる。
窓はすべて閉まっていて、磨り硝子のため中を覗き見ることはできない。
ただ、人の気配がすることだけはわかる。
それも、一人や二人のものではない。
そして向こう側でも、じっと息をひそめて私の動向を探っているのがわかった。
会議室の扉には、一枚の紙が貼ってあった。