夢みる蝶は遊飛する
α < β
「せーの!」
「ハッピーバースデー!」
いくつものクラッカーの鳴る破裂音とともに、紙吹雪が私の頭上に降り注いだ。
頭にのった細長い紙が垂れて私の視界を邪魔している。
けれど、その隙間から見えたのは。
私の方を見ている、バスケ部の部員たちだった。
「みんな・・・・」
紙を払い落としながら呟く。
そこにいるのは、男女バスケ部の、おそらく全員。
その数十人が今日ここに集まっている理由は。
笑顔を浮かべた舞が、手になにか包みを持って近づいてくる。
「亜美、誕生日おめでとう」
私の生まれた日を、祝うため。
渡されたラッピングバッグに目を落とし、まばたきをした瞬間。
知らず潤んでいた瞳から、涙が一粒だけ零れ落ちた。