夢みる蝶は遊飛する

「それにしても、亜美もよくあんなわけのわからない手紙だけでここまで来られたね」


紙コップに注がれたりんごジュースを飲みながら、舞が言う。


「あたしも隼人にあれ見せてもらったけどさ、意味不明だし途中から日本語じゃなくなるし、絶対無理だと思ってたのに」

「あ、あれってやっぱり桜井くんが作ったの?」

「当たり前。あんなのあいつじゃなきゃ作れないって」


思っていたとおり、あの暗号を作成したのは桜井くんだったのだ。



「そうそう、あれ俺が作ったんだ!」


そこへ割り込んできたのは桜井くん。

クッキーを頬張っているらしく、噛み砕く音が聞こえてくる。

頬にクッキーのかけらがついていて、子どもっぽい部分を持っていてどこかしまらないのが彼らしい。


「見せた人みんなに解読は無理だって言われたんだけど、やっぱ亜美ちゃんは違うねー」


感心したように彼が頷く。

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